社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済みらい園 弘済のぞみ園

日記

弘済 みらい園・のぞみ園の日常を綴ります。

暮らしに役立つ「自律神経のお話⑤」

2021年12月20日(月曜日)

前回は自律神経を調整するための方法についていくつか紹介させていただきました。

全てに共通することは、身体を動かすということです。

まずは身体を動かして自律神経を調整し、心に働きかけます。

 

ただ前回言った通り、子どもたちはこれを日頃から、自然と生活の中でやっています。

どうやって?

 

それは「あそび」です。

 

TVゲームのことではありませんよ。

人が顔と顔とを向き合わせてやりとりする、社会的な「あそび」のことです。

 

例えば、鬼ごっこ、かくれんぼ、だるまさんがころんだ。

遊びの中に、追いかける、逃げる、隠れる、じっとする、などの活動が含まれています。

これは「戦うか逃げるか」の神経と「凍りつく」の神経の働きそのものです。

役割はめまぐるしく変わります。鬼から人へ。人から鬼へ。

スピードメーターが右へ左へ、行ったり来たりします。

 

かと言って、子どもたちがコントロール不能になるかと言うと、そうではありません。

怒りを爆発させたり、固まって動けなくなることもありません。

だって「あそび」ですから。「安全」ですから。

(幼児は泣いたり固まったりすることがあります。まだ安心感が十分育っていないからです)

 

つまり、子どもたちは「安全」な「あそび」の中で、自然と身体を動かし

スピードメーターを左右に行ったり来たりさせながら

「安全とつながり」の神経の幅を広げているんです。

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「ちょっと『戦うか逃げるか』の神経に入っても大丈夫。

ちょっと『凍りつき』の神経に入っても大丈夫。

私はすぐ『安全とつながり』の神経に戻って来れる」

 

この感覚が「安心」ということなんです。

 

つまり、全ての「社会的なあそび」は神経エクササイズです。

いっぱいあそんだ子どもほど、安心感が育っていきます。

 

・・・しかし残念なことに、このコロナ禍です。

子ども同士がつながれない世の中。

お出かけもできず、休日も家にいることが多くなります。

するとどうなるか。

「社会的なあそび」ではなくて、TVゲームばかりしちゃったりするんですよね。

(山路家もまさにそう)

 

TVゲームでうまくいかないと、TVゲームにキレちゃったりする。

あそびなのに本気になって泣いちゃう、怒っちゃう。安心感とは程遠い。

むしろキレやすくなっているのでは?そんな疑問も浮かんできます。

 

かと言って、子どもたちを公園に連れていって、一日中走り回るような体力はありません。

(40オーバーの体力不足は伊達じゃない。鬼ごっこは2分が限界。嘘。1分で無理)

ゲーム依存にならないよう、こまめに休憩時間を取ることくらいしかできません。

 

そんなことを考えながら、子どもたちが遊んでいるゲームを見ていて、ふと気づきました。

4歳と6歳の子どもが、3ヶ月間飽きることなく、いっしょになって遊んでいるゲームがあったのです。

 

それがNintendo Switchの『オバケイドロ』(フリースタイル)です。

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(Nintendoは好きだけどNintendoの回し者ではありません)

 

要は、昔ながらのあそび「ケイドロ」です。

捕まえる側がオバケ、逃げる側がニンゲンで、ゲームの中でケイドロをします。

 

オバケイドロに含まれる要素はケイドロとほぼ同じで、逃げる、隠れる、追いかける、

捕まえる、捕まる、助ける、助けられる、ちょっとだけ立ち向かう、といったものです。

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各要素を見れば分かりますが、「戦うか逃げるか」の神経、「凍りつき」の神経、

そして「安全とつながり」の神経の働きが、ふんだんに盛り込まれています。

 

つまり子どもたちは、TVゲームの中で神経エクササイズをしていたのです。

 

ゲームの中だけじゃありません。

4歳の子が最後の1人になってしまうと、リモコンを6歳の子に手渡して、

6歳の子が捕まったニンゲンを助けるのを手伝っていました。

そして無事にほかのニンゲンを助け出すと、再び4歳の子にリモコンを渡すのです。

ゲームの中だけでなく、現実でも助け合いが行われていました。

そしてニンゲンがオバケに勝利すると、「パパ!勝ったで!」と言って

2人とも飛び跳ねて喜ぶのです。

これはなかなかいいゲームなんじゃないの、Nintendoさん?と思いました。

(Nintendoの回し者じゃありませんよ?)

 

思えば、弘済の子どもたちもケイドロが大好きです。

小学生はもちろん、中学生までいっしょになって遊んでいます。

実は高校生も入っていることが多々あります。

 

逃げて、追いかけて、捕まって、助けて、助けられて。

子どもたちは自分の自律神経に必要なものを、無意識的に知っているのです。

 

もちろん、実際にケイドロをするのと、TVゲームでケイドロをするのとは違います。

走り回っているわけでもないし、体力がつくわけでもありません。

でも自律神経の観点で見れば、似たような効果が期待できます。

 

100%同じではないけれど、0ではない。

コロナ禍で思いきりあそべない今だから、0よりは1の方がいい。

これって「暮らしに役立つ○○」コーナーを始めようと思ったきっかけと同じですよね。

 

コロナだからできないではなくて、コロナだから別の方法を考える。

Zoom会議と同じで、やってみたら役に立つことがたくさんあるんだと思います。

(30分公園で走り回るのは無理だけど、30分オバケになってゲーム内で子どもたちを追いかけることはできます)

 

というわけで、自律神経を整える方法はたくさんあります。そこかしこに。

自分に合ったものを見つけて続けることで、毎日の暮らしがより過ごしやすくなります。

ぜひ、自分に合ったやり方を探してみてください。

 

今回で暮らしに役立つ「自律神経のお話」は終了となります。

次回はいったいどんな「暮らしに役立つ○○」が語られるのか。どうぞご期待ください。

(山路)