弘済 みらい園・のぞみ園の日常を綴ります。
暮らしに役立つ子育てスキル①
2025年01月29日(水曜日)
「感情コントロール」
こんにちは!
今年度より、家庭支援専門相談員になりました、中西と小野です。家庭支援専門相談員は、子どもが家庭に帰る手助けをする仕事をしています。よろしくお願いします。
この連載では、皆様の子育てに活かしてもらえるような情報をお伝えできたらと思います!
まず第一弾として、怒りについてお伝えしたいと思います。怒りは悪い気持ちなのでしょうか。。。
私たちの心の中には色々な気持ちがありますよね。うれしい・楽しいという気持ちもあれば、恥ずかしい・悔しいとい気持ちもありますよね?その中に、怒っている!という気持ちもあります。
怒りは人間にとって当たり前にある気持ちなので、悪い気持ちではないんです!怒りは、自分を守るための感情で、何か対処しないといけないよ!というサインなんです。
とは言え、お子さんを怒りに任せて叱って後悔したり、自分を責めてしまったりすることはありませんか?
それは、叱る方法やタイミングが間違っているんです。自分が興奮したまま叱ってもお子さんには何も伝わりません。そして、こちらの体力も疲弊してしまう。精神的に参ってしまって、後悔という気持ちに繋がってしまうのです。
この方法について、次回にお伝えします。今回は、怒りは悪い気持ちではないですというお話でした!!
では!!
小野・中西
暮らしに役立つ心理学のお話④
2022年03月29日(火曜日)
こんにちは。
暮らしに役立つ心理学のお話、第4回目です。
3回目は、『イヤイヤ期』の子どもは、自立と依存の間を行ったり戻ったりしながら自立に向かっていくというお話でしたね。
4回目は、『罪悪感』という感情についてのお話です。
これまで子育てに関わる話をしてきてなぜ突然『罪悪感』と思われた方もおられると思いますが、『罪悪感』という感情も子育てに大いに関わってきます。
それは、子どもが、言葉だけでごめんなさいというのではなく、本当に悪かったなと思って、心からごめんなさいと言えるのかということに関係します。
心からごめんなさいが言えるようになるためには、子どもが自分の心の中で『罪悪感』という感情を抱えておけるようになっている必要があります。
『罪悪感』は私たち大人でも、感じることはつらい感情です。
ですので、子どもははじめから『罪悪感』を感じることはできません。
ではどのような大人の関わりによって、『罪悪感』を感じることができるようになり、心からごめんなさいが言えるようになるのでしょうか。
イギリスの小児科医であり、精神分析医でもあるウイニコットという人の視点から考えてみたいと思います。
ウイニコットという人は、小児科医として、6万人の親子を診察して、さまざまな母親の役割についての理論を創った人です。
そのウイニコットの理論の中で、『生き残ること』という考え方があります。
ウイニコットは、子どもが『罪悪感』を抱くのは、『親が攻撃されても、不安になって逃げたり、怒って仕返しをしたりせずに生き残ること』と言っています。
実際にはどういうことかというと、例えば、赤ちゃんが泣いている時にお母さんはその理由を察して、ミルクをあげたりおしめをかえたりお世話をします。
時々赤ちゃんは、何をしても泣き止んでくれない、おさまってくれないように激しく泣くこともあります。
そんなとき、お母さんは、赤ちゃんから攻撃されているように感じるかもしれません。
それでも、たいていお母さんは、赤ちゃんを見捨てることなく、赤ちゃんが泣き疲れて寝て起きたあとは、また抱っこして話しかけたりします。
このような関わりがウイニコットのいう『生き残る』ということです。
もう1つ例を出すと、もう少し子どもが大きくなって、言葉で話せるくらいになった時、子ども自身が悪いことでも、子どもから「全部お母さんが悪い」と言われたことはないでしょうか。
そういう時に、お母さんが、「はいはい、お母さんが悪いのね」と子ども自身の『罪悪感』をいったん引き受けて抱えてくれるような関わりも、ウイニコットのいう『生き残ること』だと思います。
子どもは、だんだん心が成長していって、仕返しをしないで生き残ってくれたお母さんを、自分は攻撃していたことに気づき、本当に悪かったと『罪悪感』を抱くと言われています。
このように見てくると、子どもに悪いことをしたらごめんなさいと言いなさいと教えることで、本当に悪かったという気持ちをもって心からのごめんなさいが言えるようになるわけではないことが分かりますね。
子育てをしていて、ごめんなさいって言葉だけ言っていて悪いと思っていないような感じがしたり、ごめんなさいって言ってたのに、すぐにまた同じことを繰り返して、本当に悪かったと思ってるのだろうか、と心配になったときには、ごめんなさいと言うことを教えてあげる前に、子どもの気持ちをできるだけ受け止めていくことを考えてみてもいいかもしれませんね。
子どもの気持ちを受け止めて、仕返ししないで関わり続けることは本当に難しいことだと思います。
いつもそうできないといけないということではないと思います。
それを心がけるというくらいでいいのだと思います。
子どもの気もちを受け止めていく器を保っておくためには、お母さんをはじめ、子どもと関わる人たち自身が、誰か信頼できる人にたくさん気持ちを受けとめてもらう必要があると思います。
人に頼るのが難しいという人は、自分で自分の気持ちを認めてあげて、やさしくしてあげてくださいね。
それもできないという人は、そうできない自分をまずは認めてあげてくださいね。
第4回の『罪悪感』のお話はここまでです。
暮らしに役立つ心理学シリーズ、第2弾はこの回で終わらせていただきます。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
ご紹介が遅くなってしまいましたが、暮らしに役立つ心理学シーズの素敵なイラストは、4回とも岩元先生が描いてくれました。
岩元先生、ありがとうございました!
それでは、次はどんな暮らしに役立つ○○になるのでしょうか。
どうぞお楽しみにしてください!(^^)!
(平岡)
暮らしに役立つ心理学のお話②
2022年03月14日(月曜日)
皆さん、こんにちは。
暮らしに役立つ心理学のお話、第2回目です。
1回目は、『愛着』についてのお話しでした。
安定した愛着ができていると、よいお母さんイメージが心の中にあって、お母さんから離れても安心して、大人とお話を楽しんだり、お友達と遊んだりできるんでしたね。
2回目は、『自我』についてのお話しです。
皆さんは、『自我が強い』と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
おそらく、自分の考え、意思表示をしっかりして主張の強い人をイメージされる方が多いのではないかと思います。
心理学では、『自我』というと、自分をコントロールする働きのことをいうことが多いです。
自分の欲求や気持ちを調整して、現実にうまく適応し、自分の内面を安定させるようにする機能のことです。
例えば、授業中にお腹がすいて仕方なくなりました。でも授業中にご飯を食べることはできないので、授業が終わるまでは我慢して、終わってから美味しくご飯を食べました。
この状況は、お腹がすくという不快にある程度持ちこたえて、授業を受けるという現実に適応し、終わってからご飯を食べて、自分の欲求を満たしていて、自我が育ってくれているという証です。
赤ちゃんや2、3歳の幼児さんを見ていると、自我がまだ未熟なのが分かります。
例えば、赤ちゃんは、お腹がすいたり、おむつがぬれて気持ち悪いと、泣き叫んでいます。
スーパーでお菓子を買ってもらえない時に、床にひっくり返って泣いている子どもを見かけることもよくありますね。
小さい子どもがまだ、今日はお菓子を買ってもらえないけど我慢しよう、と不快な感情に持ちこたえたり、スーパーの床でひっくり返るのは他の人の迷惑になるのでやめよう、と思えないのは、自我が十分には育っていないからです。
では、自我はどうやって育っていくのでしょうか?
お母さんは、泣いている赤ちゃんがいたら、抱っこしながら、「お腹すいたね」「おむつぬれて気持ち悪いね」と話しかけながら、おっぱいをあげたり、おむつを替えたりお世話をして、不快な感情を解消して、欲求を満たしてあげますね。
このような関わりを日々くりかえすことで、赤ちゃんは、自分のこの不快な状態が、お腹がすいている、おむつがぬれて気持ち悪いと理解できるようになります。
これは、認知が発達していくと、「お腹すいた、お菓子食べたい」など言葉で欲求を伝えることにつながります。
それだけではなく、お母さんから話しかけられながら抱っこされることで、体と気持ちを抱えてもらい、赤ちゃん自身が不快な状態に耐える力がついていきます。
自我の力がついてくると、欲求不満な状態に、耐えること、待つことができるようになっていきます。
このように、お母さんをはじめとして子どもに関わる大人が日々何気なくしていることが、赤ちゃんの欲求を満たすことだけでなく、自分をコントロールする自我を育てているということになります。
毎日くり返していることに、何の意味があるのか分からないと感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
日々何気なくしている関わりが、子どもの心を育てている、子どもの役にたっている意味のあることと思ってもらえると嬉しいです。
第2回目の『自我』のお話はここまでです。
次は第3回でまたお会いしましょう!(^^)!
(平岡)